前に小説を読んだのはいつだろう

夏コミでたくさんの本を買って、うきうきしながら読んでいた。気を抜いていた。
ううん、もし気を抜いていなかったとしても、その感覚は確かにあったんだろうけども。
まともな小説というものを、久しぶりに読んだ気がした。
すっかり忘れた感覚だった。
「物語を読み取る」ってこういうことだったんだな、とそれこそ何年ぶりかに再発見した。
私が今まで読んでいたのがくだらなく思えてしまうほどの小説だった。
今まで読んできたのは、文章が物語を運ぶような、一つ一つの状況を説明するような、心情が手に取るように分かるような、そんなもの。
それが悪いというわけではないんだけれど、少なくとも今日読んだ小説はそんなものじゃなかった。
文章から物語を汲み取っていく。行間を読む。想像を働かせる。
こんな陳腐な言葉しか出てこない自分が嫌だけど、本当にそんな小説だったんだ。
私の書いてるものなんて、上手・下手で比べられるものじゃなかった。次元が違うんだ。
これから一生、私はこんなものを書けないだろうと分かって、それは悲しいというよりかは、仕方ないなあと笑って認めるしかない事実だった。
最後の最後まで陳腐だけど、凄かった。