感想4の続き

山手樹一郎著、「尺八乞食」読破。
同じ人が書いた本「江戸の暴れん坊」とは、全く方向性が違うというかいやはや。
短編集だから違うのかってのも、この人の本を数読んでないので分かりません。
一つ言えるのは、どっちも好きだってことだねー。どっちかっていやこの短編集の方が好き。
あ、さて感想。


短編集ということなので、それぞれのお話に分けての感想で行きたかったのですが、
それぞれのお話がすっきりしている上に短いので、感想らしい感想を書けないことに気付きました。
しょうがないので、全体的な、それでいてぼやーんとした曖昧な感想を。
とにかく、面白かったです。
主人公は、悪人だったり乞食だったり隠密だったりする。でもそれぞれの元を辿れば、全員が剣士。
そのせいか、ものすごくスッキリしているのです。さばさばしているというか、卑しくないというか。
全部のお話で夫婦が完成しており、変な駆け引きも・・・まあ、あるっちゃあるけど、そんなにはない。
私は「尺八乞食」「香代女おぼえ書」「振り出し三両」「紺屋の月」辺りを気に入りました。
「尺八乞食」のラスト一行は何度読んでもほんわかするし、
「香代女おぼえ書」は男が格好良くて女は三歩下がって見守っているし、
「振り出し三両」はこのタイトル通りの逸品だったし!*1
そんでもって、一番好きな主人公がいたのが「紺屋の月」の世界だったんですよね〜・・・カッコ良かったー。
でも本当にそれぞれに特徴があって楽しい。これは捨てられないなー、うんうん。


でも一つだけ!何故主人公はそんなに女を押し倒したいんだ、そして何故女はそれを許す!!(どかーん)

*1:これと「尺八乞食」という題名はなんだか私の胸をグサグサと突き刺してたまらんのである