感想2の続き

又四郎行状記
又四郎行状記
posted with amazlet on 06.06.13
山手 樹一郎
青樹社 (1983/06)

昨日朝6時まで夜更かししたら読めたので、最終的な感想。


うーん・・・うーん・・・!!!
一番妥当なのです、終わり方としては。いや妥当っていうか、まあそれしかない。
それはそうなんだけど・・・こう、どうにかしてお艶を幸せにしてあげられなかったのか。
あれではあまりにもお艶がかわいそうで泣けてくるよ・・・
まずお蝶はないってのは分かってた。又四郎さん、普通に道中ついてっただけですもん。
で、お艶か姫様だったわけだけど・・・うーん・・・
そりゃ若様は最初から、姫様の顔が見たくて素浪人になりすましていたわけで、姫様と結ばれるというのは一番妥当である、と。勿論この本もその通りになった。
でもね、でもね、違うじゃない。本当に好きだったのって、お艶じゃない。
甘い言葉は(無意識にだけど)誰にでも囁いた、キスだって姫様が最初にされた。
だけど・・・だけど、さあ!
たった一人お艶にだけ、あの又四郎が「お前が好きなんだ」と言った。
お艶をあんな風にした青鬼を、あの又四郎が「斬る」と言った。
人に「惚れてるのか」と訊かれ、あの又四郎が「うむ」と言った。
誰もが望んだその言葉を、あの又さんが言ったんだ、言ったんだよお艶さん・・・!!
だけどお艶には、もう何も届かない。
誰の前でものほほんとしていた又四郎が、初めて涙を流したことも、初めて心から愛しい声を出したことも。
だってあの人は・・・あの人は・・・!!
チキショー泣けてきやがるぜっ、こんな悲しい結末ってアリかよ!
最初にも書いたけど、又四郎が自分の正体をばらして姫様とめでたし、それが妥当。
でも、違うのでしょう?心の中にいるのは、姫様ではないのでしょう?


なあ、『生涯笹井又四郎で終ろうかとまで、思い悩んだ』んだろう?
お前は、お艶があんな・・・あんな風になったから諦めるのか・・・?
・・・何とか言えよ若様!どうなんだよ、この意気地なし!!


切なさのあまり、泣き叫びそうになった。
最後まで馬鹿な若様だったよ、又四郎は。・・・ばか。バカ!馬鹿馬鹿馬鹿ーっっ!!!